潰瘍性大腸炎Ulcerative colitis

潰瘍性大腸炎Ulcerative colitis

潰瘍性大腸炎とはABOUT

潰瘍性大腸炎大腸や小腸の粘膜で炎症や潰瘍が起こる疾患で、明確な発症原因は分かっていません。こうした疾患を総じて炎症性腸疾患と呼び、代表的なものには潰瘍性大腸炎やクローン病などが挙げられます。大腸粘膜でびらんや潰瘍が生じ、血便の有無が異なる下痢と腹痛が何度も起こります。直腸から結腸にかけて上行性に病変が生じます。病変の広がり方や経過などについては以下をご参照ください。

  1. 病変の拡がりによる分類:直腸炎型、全大腸炎型、左側大腸炎型
  2. 病期の分類:寛解期、活動期
  3. 重症度による分類:激症、重症、中等症、軽症
  4. 臨床経過による分類:慢性持続型、急性激症型、再燃寛解型、初回発作型

潰瘍性大腸炎の特徴

性差はほとんどなく、男性では20〜24歳、女性では25〜29歳で最も発症率が高まります。なお、若年層だけでなく高齢者でも発症リスクは存在します。なお、喫煙者や虫垂の切除経験がある方は発症リスクが低下すると言われています。

潰瘍性大腸炎と類似する疾患

潰瘍性大腸炎には決まった診断基準が存在し、鑑別が必要な疾患としては、「細菌性赤痢」「サルモネラ腸炎」、「クローン病」などが挙げられます。

細菌性赤痢

赤痢菌への感染によって発症する腸管感染症のことです。タイ、インドネシア、インドで発症するリスクが高く、多くの場合は海外渡航中の感染と言われています。日本国内では、海外からの帰国者からの二次感染、細菌が付着した食品の摂取などによって発症することがあります。潰瘍性大腸炎と似たような症状が起こり、1〜5日間の潜伏期間を経て、腹痛、下痢、発熱などが起こります。

サルモネラ腸炎

サルモネラ菌が付着した食品の摂取によって発症する感染症です。食肉、鶏卵の摂取、その他にもペットやヒトとの接触が原因で感染することもあります。吐き気・嘔吐、発熱、下痢、腹痛といった症状が3〜4日続き、中には1週間以上症状が収まらない方もいらっしゃいます。

クローン病

大腸、小腸の粘膜で炎症が長期化する炎症性腸疾患の1種です。潰瘍性大腸炎と同じく厚生労働省より難病指定を受けており、発熱、貧血、血便、下痢、腹痛、全身の倦怠感、体重減少といった症状が起こると考えられています。

潰瘍性大腸炎の原因CAUSE

明確な発症原因は分かっていませんが、自己免疫異常、腸内細菌の関与、食生活の変化などが原因として推測されています。

潰瘍性大腸炎の症状SYMPTOMS

血便下痢が起こり、持続的もしくは痙攣性の腹痛も起こります。重度の場合は体重減少、発熱、貧血といった症状も起こり、関節・眼球・紅斑などの症状を併発する恐れもあります。

潰瘍性大腸炎の診断

問診で症状の程度や既往歴について確認します。潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢が起こる感染症との鑑別が重要となりますので、下痢を引き起こす細菌や感染症についても詳しく検査します。大腸カメラやX線検査を行い、大腸内の炎症や潰瘍の状態を精緻に観察します。また、大腸カメラの際に疑わしい病変の組織採取を行って生検に回し、類似疾患との鑑別を行います。

潰瘍性大腸炎の検査SCREENING

大腸カメラ問診で症状の程度や既往歴について確認します。潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢が起こる感染症との鑑別が重要となりますので、下痢を引き起こす細菌や感染症についても詳しく検査します。大腸カメラやX線検査を行い、大腸内の炎症や潰瘍の状態を精緻に観察します。また、大腸カメラの際に疑わしい病変の組織採取を行って生検に回し、類似疾患との鑑別を行います。

潰瘍性大腸炎の治療TREATMENT

潰瘍性大腸炎の治療

薬物療法と血球成分除去療法が中心となり、状況次第で外科手術も検討します。薬物療法では、寛解導入をするために5-ASA製剤の経口薬や注腸薬を使っていきます。症状が重い方には5-ASA製剤とステロイド剤を併用しますが、タクロリムス、抗TNF-α抗体製剤、α4インテグリン阻害薬といった最新の薬を使用することも可能となっています。ステロイド治療では効果が不十分な場合は、血球成分除去療法を検討します。

潰瘍性大腸炎の妊娠への影響

妊婦妊娠・出産には支障がありませんが、流産・早産・不妊のリスクとなる「活動期」を避けて妊活をすると良いでしょう。潰瘍性大腸炎は遺伝的な要因はありませんが、治療で精子量が減るため、妊活を希望する男性についてはご相談ください。薬物療法では寛解状態をなるべく長く保ち、出産まで症状が起こらないようにすることが重要ですが、症状が出てしまった際は妊娠していない時と同様の治療を実施します。なお、薬によっては胎児に悪影響を及ぼすこともありますので、ご注意ください。また、胎児への影響を考慮し、妊娠中の大腸カメラ検査は行いません。

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