十二指腸潰瘍について
十二指腸潰瘍とは、十二指腸壁の炎症が長期化することによって、粘膜下層の深部にまでダメージが及んでいる状態のことです。ピロリ菌感染による炎症の長期化、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の服用などが発症原因として知られています。 特徴的な症状としては、腹痛、粘膜の出血によるタール便、貧血が挙げられ、特に空腹時の腹痛が代表的な症状です。 潰瘍の進行につれて、十二指腸粘膜に穿孔が起こることもあり注意が必要です。 ピロリ菌感染が原因の場合は除菌治療を行うことが効果的です。
十二指腸潰瘍の原因CAUSE
胃潰瘍と同様、ストレスや遺伝的要因が関係しており、胃酸と粘膜による防御の働きのバランスが崩れてしまうことで発症します。
ピロリ菌の感染
ピロリ菌感染によって炎症が長期化することが原因となります。ピロリ菌は強い酸性の環境でも生きられる性質を持ち、幼少期に感染することが多い傾向にあります。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ピロリ菌に次いで、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の服用も主要な発症原因となります。風邪を引いた際などに解熱鎮痛剤を飲んで腹痛などの症状が起こった場合は、すぐに薬の使用を止めて専門医へご相談ください。
十二指腸潰瘍の検査SCREENING
確定診断のためには、ピロリ菌感染検査と胃カメラ検査が不可欠です。
胃カメラ検査
上部消化管(食道・胃・十二指腸)の内部を確認することが可能です。炎症や潰瘍の度合い、損傷の程度、周辺組織の状態を観察し、疑わしい病変は組織採取をして生検を行うことで確定診断が可能です。出血が見られる際には、胃カメラ検査中に止血処置も行います。また、胃カメラ検査において、ピロリ菌感染検査やその他の疾患との鑑別も可能です。
ピロリ菌検査
胃カメラ検査での確認の他にも、便中抗原検査、尿中抗体検査、尿素呼気検査、血液抗体検査などでも感染の確認ができます。
十二指腸潰瘍の治療TREATMENT
薬剤療法
胃酸分泌抑制薬を6週間程度服用することで、80%程度の方は快方に向かいます。 なお、再発リスクも高いため、治療後1年程度は服用を続けながらこまめに検査を受けることが望ましいです。 ピロリ菌感染が起こっている場合は、除菌治療によって再発防止が大いに期待できます。除菌治療では、2種類の抗生剤とその効果を高める胃酸分泌抑制剤を1週間程度服用して頂きます。
手術(出血した際)
胃カメラ検査で出血が見つかった場合は検査中に止血処置が可能です。十二指腸潰瘍では、出血があっても90%以上の患者様は開腹手術による治療は不要で、胃カメラでの止血治療で済みます。